今回は遺言書の偽造について。
いきなりシビアな話になりますが、遺言書が偽造された場合は、
もちろんその遺言書自体が無効となります。
池井戸潤の小説「かばん屋の相続」にも出てきますが、
偽造した者が相続人である場合は、相続人としての地位を失うことになります。
(「相続人の欠格事由」:民法891条)
破棄または隠匿(いんとく:他人に見つからないように隠してしまうこと)した者も同様です。
当該相続人は自動的に欠格(資格を失うこと)となり、
裁判所に請求する必要もありません。
また相続欠格とみなされると、その撤回もできません。
ただし、その相続人にお子さん、お孫さんがいらっしゃる場合は、
「代襲相続」と言って、相続の権利が移ることになります。
相続欠格と同じような制度として、「相続人の排除」があります。
こちらは、生前の被相続人に対する虐待や侮辱などがある場合に、
被相続人が裁判所に請求することによって、その相続人の権利を排除する制度です。
ただし、「相続させたくない」という理由のみでは、裁判所は請求を認めません。
また、この排除には「排除の取り消し」が認められる場合もあります。
今回は少しシビアな話でしたが、遺言書を偽造したり隠したりすると
相続の権利がなくなること、そして相続させたくない人を
選べることは覚えておくと良いでしょう。