前回は任意後見制度のメリットばかりお話をしましたが、デメリットしては次のようなことがありますので、ご注意が必要です。
まず、任意後見契約に書かれていない事項については、当然任意後見人は行うことはできません。
また、任意後見人は家庭裁判所による選任後は、基本的には辞任は認められません。転勤や病気療養など正当な事由が必要です。
期間も本人の死亡まで、長期にわたることも想定しておいたほうがいいでしょう。
更に任意後見人の費用についてですが、ご家族の方が後見人となる場合は無報酬のケースが多いですが、専門職に依頼する場合は、財産状況に応じて、月額約2~6万円程度の報酬が必要です。
必置の任意後見監督人にも別途報酬(月額)もかかり、これらの費用は本人の口座から支出することになります。
ところで、意外と知られていないのが、任意後見人は同意権や取消権がないため、その対応に注意が必要です。また本人が亡くなった後の事務処理、葬儀、お墓の手配、遺品整理、財産管理などは後見事務の対象外となるため、特に身寄りのない方は自分が亡くなった後のことを任意後見人に契約を通じて託すことも有効でしょう。(死後事務委任契約)